アートイベント

Age of Photon / Taro Karibe展覧会「INCIDENTS」

2020年1月27日

さまざまなビジュアルコミュニケーション事業を展開する株式会社アマナ(本社:東京都品川区、 代表取締役社長 進藤博信、 以下「アマナ」)において、 “LIVING WITH PHOTOGRAPHY”をコンセプトに、 雑誌、 写真集、 展示など様々なアプローチでアートフォトとの接点を創出してきた『IMA』。 そのアートフォト専門ギャラリー「IMA gallery」では、 気鋭のフォトグラファー苅部太郎による作品「INCIDENTS」を展示します。 計11点からなる同シリーズからセレクトし、 紙にプリントされた作品4点と同時に、 全作品を光子によるまったく新しいモニターを用いたインスタレーションで、 写真表現の新たな可能性を探ります。

『 INCIDENTS 』 (2020)(C) Taro Karibe

デジタルTVの液晶モニターの画面のノイズをカメラで捉えた作品が、 再び光子モニターに映し出されるという入れ子構造の展示を通して、 そのテクスチャーの違いがビジュアルにもたらすものの意味や効果をリアルに体感していただけるでしょう。

今回の展示で苅部が用いている<フォトニックフィルム>(光子膜)は、 中国・深圳に2015年に創業したスタートアップ「Holo Kook」(Shenzhen Guangke Holographic Technology Co. Ltd.)が開発した、 新時代のモニターです。 プロジェクターから投射した映像を日中や屋外でも鮮明に映し出すことを可能とする<フォトニックフィルム>は、 世界に先駆けて同社がパテントを持つ「光子結晶化技術」によって実現したもので、 従来、 技術的な制約や製品的な制約によって自由を阻害されてきた<メディアアート的表現>を拡張する可能性を秘めています。

本展示では、 自然光に近い環境のなかでも鮮明に映像を映し出せる<フォトニックフィルム>の特性を活かして、 フィジカルのプリント作品とプロジェクションによる作品を同じ空間のなかで等価に扱い、 デジタルテレビのグリッチノイズをフィジカルな"写真"へと変換することで、 デジタルとフィジカルの境界を批評的に融解してみせた苅部の「INCIDENTS」という作品に、 さらにひとつ変換を加えることを試みています。

尚、 この<フォトニックフィルム>は、 深圳のHolo Kook社とゆかりのある若林 恵氏(元WIRED編集長)がコンテンツディレクターを務める黒鳥社を通じて、 日本のアート空間において初めて紹介される事例となります。

展覧会概要

Age of Photon / Taro Karibe展覧会
「INCIDENTS」

会 期 : 2020年1月24日(金) ~ 2月8日(土)
時 間 : 11:00~19:00 (日曜・祝日休)
会 場 : IMA gallery (住所:〒140-0002 品川区東品川2-2-43 T33ビル1F)
https://amana.jp/company/shops-galleries/imagallery.html
入場料 : 無料
協 力: 黒鳥社
主 催:株式会社アマナ
問合せ : TEL/ 03-3740-0303、 E-Mail/ imagallery@imaconceptstore.jp

《ギャラリートーク&クロージングパーティ》

2月8日(土)15:00~17:00
苅部太郎×若林恵(黒鳥社)
※参加費無料

作家ステートメント

空間軸と時間軸が混線し、 劣化したイメージ群。 またTVが映し出す画一的で整合性が取れた物語から自由になった、 あるがままにそこにある小さな世界の断片。 そこから何かを確信して読み解くことはできず、 もし読み解けたとしても、 ルビンの壷のように反転し続ける図と地の間のせめぎ合いから、 絶対的な真実はすり抜けていきます。

リアルタイムに流れるデジタルTV放送にグリッチを発生させ、 画面を有機生物のように埋め尽くすノイズをザッピングして捉え、 そうして得られた画像を回転・トリミングして元のコンテクストを破断する作業の中で、 それぞれのビジュアルが持っていた本来の意味は失われ、 世界に対する一義的な説明は、 白い紙の上に滲んだ黒いインクのロールシャッハテストのごとく失われています。 その行為はまるで、 デジタル信号で抽象絵画的な織物を偶発性にまかせて編むようなものでした。 不完全性、 非論理性、 混沌は、 デジタル的な合理性や一貫性が強く求められる現代、 特にマスメディアで排除されがちです。 それでも私は、 信じているほど継ぎ目が鮮明でなく、 複数のリアリティが人それぞれに同時併存するような曖昧な世界を眺めていて、 ふと居心地の良さを感じるのです。

作家プロフィール

苅部 太郎
1988年愛知県生まれ。 南山大学人文学部心理人間学科卒業。

在学中に英国留学・南アフリカ共和国で国際NGOの感染症コントロール計画で研修。 卒業後、 金融機関勤務。 2015年に写真家として独立。 「自他を仕切る境界の曖昧性」、 「世界の偶有性」を軸に写真作品を制作している。 作品は国際的に高く評価され、 ニューヨークタイムズやワシントンポストをはじめ国内外のさまざまな雑誌に作品が掲載されている。

▼アートフォトの専門ギャラリー「IMA gallery」
https://imaonline.jp/imaproject/ima-gallery/

IMA galleryのコンセプトは “LIVING WITH PHOTOGRAPHY”。 アートフォトのある暮らしをもっと身近に楽しむためのスペースとして、 2014年に東京・六本木にオープン、 2017年に品川・天王洲に移転しました。 若手写真家のための活躍の場を創出する“IMAプロジェクト”の一つとしてスタートして以来、 所属作家を中心に、 国内外の若手日本人写真家による展覧会や、 アーティストやクリエイターを招いたトークショーを実施するなど、 アートフォトを多角的に楽しみながら学べる機会を提供しています。 “IMAプロジェクト”は写真雑誌『IMA』の刊行や、 WEBSITE『IMA ONLINE( https://imaonline.jp/ )』のメディア事業も展開し、 多方面から好評をいただいているアマナグループのアートフォトプロジェクトです。 また併設のカフェ「IMA Cafe」( http://ima-cafe.com/ )では、 厳選されたこだわりのコーヒーもお楽しみいただけます。

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