東京の自由が丘には沢山のお洒落なショップがあります。
しかしながら家賃もお高い自由が丘では移り変わりも激しく、5年で閉店するお店も結構あります。
そんな中で、20年以上も根強い人気を誇るお店があります。
『HP HOTCH POTCH』
お店には若い人からお年寄りまで幅広い女性客にあふれていて、店内で売られているものの半分は自分が使うもの、半分がプレゼント向き、そんな雰囲気のお店です。
高級過ぎない赤ちゃん向け子供向けアイテムも非常に豊富なので、出産祝いや子供の誕生日プレゼント等を探すのにも適しています。
昔からハンドメイド作家さんのアクセサリーを販売していたのですが、先日帰省時に寄ってみたところ、販売しているハンドメイド作家さんの数が増えていて、ビックリしました。
(20年以上前はアクセサリー作家さん一人?でした)
そして作家さんのクオリティの高いこと!
これがハンドメイド作家さんの目指すところだ!と思ったので共有させていただきます。
それでは『ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為の6つのコツ』をお伝えします。
私は2007年に世界的に有名な現代芸術家のもとでマーチャンダイザーとして商品開発を担当していました。
彼の名前があればそれだけで飛ぶように売れる、相当なネームバリューを持っていた方でしたが、それに恥じない、徹底した拘り、納期が迫っていようと妥協しない業者泣かせな姿勢が結果、購入してくださる方の宝物となり、ここで私は商品開発をしていく者としての精神を学びました。
それを、ここでアウトプットしていきます。
こんな方におすすめ
- すでにハンドメイド作家としてデビューしている方
- 委託販売、買取販売で販路を広げたい方
- 作品のクオリティを上げたい方
目次
- 1 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその①:プロ意識を持つ
- 2 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその②:人の意見を聞く
- 3 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその③:お店側の事情を知る
- 4 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその④:メインターゲット像を作る
- 5 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその⑤:目先の利益にとらわれない
- 6 ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその⑥:作品に作品名を入れる
- 7 最後にひとこと
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその①:プロ意識を持つ
ハンドメイド作家として個人でちょこちょこ作っている場合であっても、お金を出してくださる方がいる限り、あなたはプロです。
何かを販売する、ということは、そのジャンルのプロでなければなりません。
私たち商品開発担当者が販売する商品を決めた時、次のような流れで納品となります。
(とあるぬいぐるみの例)
step
1発注業者を決める
step
2発注業者と打ち合わせ
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3発注業者がサンプルを作成
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4打ち合わせにてサンプル確認、修正指示、やり直しの繰り返し
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5サンプル完成、発注数と納品価格の確認
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6発注業者が中国の工場に発注
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7中国の工場がサンプル通りの商品を量産
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8現地で検品、輸送
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9発注業者が日本で検品、納品
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10発注者(商品開発担当者)が確認、検品、納品OK
ここで注目してもらいたいのが、これらは人の手が作っている、という点です。
step
3発注業者がサンプルを作成
step
7中国の工場がサンプル通りの商品を量産
機械で全て作れてしまうクリアファイルなどとは違い、多くの商品は一つ一つ人が丁寧に作っているのです。
もしかしたら毎日毎日そればかりを作っていて、目を瞑っていてもミシンが真っ直ぐに縫えるのかもしれません。
ですが、それってハンドメイド作家さんも同じことが言えませんか?
同じ作品を沢山作っているといつの間にかクオリティ、上がりませんか?
たまに『ハンドメイドな為、神経質な方はご遠慮ください』的な文言を目にしますが、その気持ちでは趣味の延長止まりです。
工程としてはプロの業者もハンドメイド作家さんも変わりはありません。
人が一つ一つ作り上げているそのぬいぐるみも、ある意味ではハンドメイドに違いありません。
ですがどこにも『ハンドメイドな為、神経質な方はご遠慮ください』なんて文字はありません。
ハンドメイド作家さんは、プロの業者と同じくプロです。
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその②:人の意見を聞く
一つの作品が出来上がった時に、沢山の人に見せて意見を聞きましょう。
『わー、こんなの作ったの?すごい』という意見ではなく、『ここ、どうにかならない?』という意見を引き出してください。
その為には、この作品、〇〇円で販売したいんだけど、あなたなら買う?という問いを投げかけてみてください。
『私なら〇〇円までかな』と言われたら、なぜその金額なのかを追求しましょう。
もっと安く同程度のものが販売している場合は、それ以上のクオリティ、お洒落さ、オリジナリティが無ければいけません。
そもそも好みに合わない場合は、何が好みに合わないのか、色なのか形なのか、それ自体なのか。
大抵の場合、誰かがものすごく感動するほど欲しい、と思うものは多くの方が同じように思います。
ですがその逆、誰かが全く欲しくない、全く感動しない、と思うものは多くの方が同じように思います。
以前にもお伝えしましたが、自分が売りたいものを作る、のではなく、人がお金を出してでも手に入れたくなるものを作る、まで商品を成長させなければ、委託販売や買取販売は難しいです。
その為にも、多くの人の意見を聞いて、改良に改良を重ねることが大切です。
あの有名なテーマパークのキャラクターぬいぐるみも、そうやって作られているのですよ!
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその③:お店側の事情を知る
店側の話をします。
委託販売、買取販売の違いは、前者が売れた分だけ支払うシステム、後者が下代(仕入れ価格)で購入し、店側で在庫を抱え販売する、というものです。
人気で在庫の確保がなかなか難しく、売れると見込まれる場合は買取販売もありますが、ハンドメイド作家さんの場合、大抵委託販売で交渉されることが多いです。
では委託販売の契約をする作家さんの選出をどのように行なっているか、一つの例をとってご説明します。
作家さん自ら作品を持ち込んできた場合
この場合、以下のことをチェックします。
- 商品のクオリティ
- これまでの実績
- 一度に可能な納品数
- 月に何個まで納品対応可能か
- 商品のターゲットが店のターゲットと合っているか
- 商品のトーンと他の商品のトーンが合っているか
- 販売価格と仕入れ価格
- 契約期間の柔軟さ
- 作家自体の雰囲気
- 作家自体のやる気
詳しく説明していきます。
1.商品のクオリティ
先ほどお伝えした通り、お店側はプロの仕事を期待しています。
作家さんのクオリティが低ければ、お店自体の評価も下がります。
ハンドメイドなので、ではなく、プロ意識を持って作品を作っている方に期待します。
プロ意識を持っているか持っていないかを、作品のクオリティでチェックします。
2.これまでの実績
これまでにどんな場所で販売してきたのか、その作品自体どの程度売れてきたのかも大事な判断材料になります。
非常に人気があった商品であれば、販売場所(イベント名等でもOK)と販売個数をお伝えしましょう。
実績があれば店側の期待値もグッと上がります。
お店側は、サービスで作品を販売するのではありません。
あくまで商売としての取引をしています。
とは言え、無くても気にしなくて大丈夫です。
最初はみんな、無いところからスタートしています。
3.一度に可能な納品数
『欠品』という状態が、売上を逃すということに繋がります。
その為、どの程度の納品数が可能なのかは必ずチェックします。
数はお店の通常の来客数にもより大差はありますが、月数個しか作れないような作品は持ち込まないようにしましょう。
4.月に何個まで納品対応可能か
3と同じことですね。
どの程度の数が発注可能で、納品依頼から納品までどのくらいの時間を要するのかもチェックポイントになってきます。
予め、作品の納期までのスピード感を自分で把握しておきましょう。
その場合、無理のない範囲で考えておくと良いです。
毎月5日と20日に何個納品出来ます、などの目安を作っておくとお店側にとっても作家さん側にとってもスケジュールを管理しやすく良いです。
5.商品のターゲットが店のターゲットと合っているか
これはコツ④でも説明しますが、お店のターゲットと作品のターゲットが合わなければ委託販売はしません。
6.商品のトーンと他の商品のトーンが合っているか
トーンについては以前『ハンドメイド作家としてのデビューを考えたら読んで欲しい記事』にてお伝えしましたが、トーンが合わなければ、取引しないケースが多いです。
例えばナチュラル系のトーンでまとめているのに、キャラクターバッグを持ってこられても、取引しないです。
トーンは大切なので、営業に行く前にしっかりとお店の市場調査をしておきましょう。
7.販売価格と仕入れ価格
お店の平均単価が2,000円なのに、5,000円のものを持ち込まれても、うちの店では厳しいかなー、なんて事になります。
逆に200円でも、そんな細々したもの売ってもなー、と。
お店のトーンと同様に、販売価格が他の商品と同じ程度のものが好まれますので、この点もしっかりと調査しておきましょう。
また、仕入れ価格はおおよその割合があります。
販売価格は伏せておいて、お店側への仕入値をまずは提示して、そこから販売価格の相談に移す、という方法もあります。
委託販売は全て●割で統一、というお店もあるので、それはそのお店に従っておきましょう。
とは言え、実績があれば強くでても大丈夫ですよ!
8.契約期間の柔軟さ
契約期間、つまり、いつまでお店におくのかを約束するか、とい事について。
これについては初回はまずは販売してみて、というケースになることが多いです。
例えば3ヶ月全く売れなければ撤去、3ヶ月全く動かない商品があれば他に差し替え、など、ある程度は柔軟にお店側の要望に応えることが良いです。
とは言え、あまりにも無茶苦茶なことを言われたら、今回の話は無かったことに、と断りましょう。
9.作家自体の雰囲気
これ、結構重要です。
人は見た目から判断は出来ませんが、醸し出す雰囲気があまりにも悪いと作品が素敵だろうと、断ることがあります。
また、逆にとても良いと、応援したい、と思って契約に繋がることも。
あなたを表す服装で、営業に出掛けましょう!
10.作家自体のやる気
最後に作家自体のやる気を見ます。
やる気があり、もっともっと作品を成長させたい!という意欲的な方だと、取引している最中にもっと良い作品を持ってきてくれるかもしれない、という期待が持てます。
ハンドメイドの委託販売をしてくれるお店は、作家さんを応援したいと思っているケースが多いです。
その為、ここはこうした方が売れるかもしれない、とアドバイスをくれるかもしれません。
お客様にこう言われたよ、と教えてくれるかもしれません。
そんな時に、それを持ち帰って次の作品で改善してくれそうな、やる気のある作家さんと取引したい、と思います。
お店と取引するのはある程度覚悟のいることです。
ですがお店やお客さんが作品を成長させる手助けになることがあります。
やる気と自信と覚悟を持って、作品を持ち込みましょう!
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその④:メインターゲット像を作る
以前の記事でもお伝えしましたが、メインターゲット像を作ることが大切になります。
メインターゲットを絞ることの大切さは上記の記事にてご確認ください。
メインターゲットとショップのターゲットに齟齬があれば、どんなに素敵な作品であっても委託販売は難しいでしょう。
子供向けなのか大人向けなのかによっても、置いてもらえそうなお店が変わってきます。
無添加ヴィーガン系スイーツ店に添加物バリバリ使ってるけど美味しいケーキが売っていないのと同様に、ステーショナリー専門店にベビースタイは販売しません。
持ち込み営業するのであれば、その点を間違えないようにしっかりとお店の事を下調べして、作品に合ったお店を選ぶようにしましょう。
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその⑤:目先の利益にとらわれない
目先の利益にとらわれないようにしましょう。
その店で販売してもらう事で販路が広がるかもしれない、実績が増える、クオリティが上がること等が期待出来ます。
イベント出店は対面式で、お客様と直接やり取りする事が出来る為楽しさや学びがありますが、イベント会場という時点でターゲットの幅がある程度決まってきます。
イベント会場にはほぼ、そのイベントに興味がある方しか来ません。
ですがお店はお店の定めたターゲットの他、ふらっと寄るお客様もいます。
新たなターゲットに見てもらう事で、自分が気付かなかった点が見えて来ます。
お店の人は自分たちの商品と思って販売するので、お店側の意見も聞けます。
お店側が意見してくれる事でクオリティも上がります。
また、他の作家さんの作品と並ぶ事で、改善点が見えて来たり、自分の作品の良さが見えたりします。
クオリティを上げる、という意味でも、他のお店で販売してもらう、ということは作品の成長に繋がります。
委託販売は直接販売より儲けは減りますが、そこで作品のファンになった方が直接作家さんのSNS等に訪れてくれるかもしれません。
委託販売は宣伝の場所と割り切りましょう。
ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為のコツその⑥:作品に作品名を入れる
作品には必ずタグ等をつけて、委託販売で買って帰った方がご自分のSNSやサイトにたどり着けるようにしましょう。
あまりにも目立つようにやると店側から嫌がられることも多いので、控えめにタグをつけるなど工夫をしましょう。
服飾であればオリジナルタグ、アクセサリーであれば台紙を作る等でOKです。
購入者が作家さんにたどり着けるパンくずをキチンと置いて来ましょう!
最後にひとこと
以上、『ハンドメイド作品をセレクトショップに委託販売(または買取販売)してもらう為の6つのコツ』でした。
ハンドメイド作家さんの作品は、この世に一つしか存在しない唯一無二のオリジナル商品です。
これが職人さんだともの凄い付加価値になって、非常に高い値段で取引されますよね。
『全て手作り』『一点物』ここにプロとしてのクオリティが加われば、最高の作品に仕上がりますよ!
当ブログではこのように、マーチャンダイザー時代に培ってきたノウハウを、お伝えしていきます。
是非いい作品を作って、たくさんの人を感動させましょう!
この記事のまとめ
- プロ意識を持ちましょう
- 人からのアドバイスはしっかりと受け入れ、改善する努力をしましょう
- やる気と自信と覚悟を持って、作品を持ち込みましょう
- お店のターゲットと作品のターゲットは合わせましょう
- 委託販売は宣伝の場所と割り切りましょう
- 購入者が作家さんにたどり着けるパンくずをキチンと置いて来ましょう